目標数値④ 進塁阻止数
小学生男子ソフトボールにて、自チーム守備力の向上や他チームとの守備力を比較する数値として、「進塁阻止数」という下記の計算式で測ってみるのはどうでしょうか、というご提案の話です。
簡単に言いますと、1試合の進塁阻止数を測るために、
・完璧本塁打(フェンス越えの本塁打か外野がボールに触れずに抜けていった打球)
・与四死球
・奪三振
を除いた
進塁阻止数=(守備アウト数+相手の残塁数)―(相手打球による進塁数+自分達のミス数)
という計算式です。
簡単な例を挙げますと、
先頭打者がヒットで1塁出塁。次の投球でワイルドピッチとなって2塁へ行かれました。だけど、その後は、次の塁への進塁はさせず、3者連続内野フライアウトで断ち切った。
このイニングの進塁阻止数は、
(3(守備アウト数)+1(相手の残塁数))―(1(ヒット:相手打球による進塁数)+1(ワイルドピッチ:自分達のミス数))=1イニングの進塁阻止数「+2」
という計算です。
これが1試合7イニング連続で起きたら、その試合の進塁阻止数は、「+14」です。
スコアブックを見てやるなら、
①完璧な本塁打と四死球と三振アウトの数を数えずに
②守備アウト数と相手の残塁数を足して、
③相手チームの進塁した数を数えて引いて、
④優先アウトを取った後ろの塁の進塁数は引いたら
進塁阻止数は出て来ます。
<進塁阻止数の計算式の各項目紹介>
計算式を作るために、試合で記録した1つ1つの進塁や進塁阻止したプレーを全部で10個の項目に分けます。
どの項目に当てはまるか、簿記の仕訳みたいに分ける事が、ちょっと面倒ではあります。
ランナーがあまり出なかった試合は数えるのが楽ですが、ランナーが沢山出た試合は数えるのが大変になる所
が難点です。だいたい1試合をスコアブックで調べて計算を終えるまで10~20分程かかります。
ただ、この数値は自分でも何試合も確認しましたが、各チーム、その試合で発揮したチーム守備レベルの高さをしっかりと表せていると自負しているので、ご参考にして頂けましたら幸いです。
では、簡単に10個の項目を申し上げます。
まず、守備アウト数になる項目は3つ。(三振は数えません)
①捕球・送球・触球・妨害アウト
(フライ・ライナーキャッチ、フォースプレー、タッチプレー、挟殺プレーのアウト、守備妨害)
②盗塁・けん制アウト(投球後の捕手送球アウト、離塁アウト)
③進塁阻止(優先)アウト
(無死ランナー1塁時、遊ゴロで2塁送球アウトにしたら、このアウトになります。
打者走者が1塁セーフの場合は、入れ替わりという意味になり、進塁とはみなしません。
ただし、無死1塁時、遊ゴロで1塁送球アウトとなり、1塁ランナーが2塁へ到達したら、
犠打扱いになり、相手の進塁数として「1」がカウントされてしまいます。)
そして、
④相手の残塁数
これもプラスとして加算します。意味としては2つ。
1つは、ランナーを出しながらもホームまで返さなかった、ピンチをしっかり守り切ったという意味。
もう1つは、仮に投手が3者連続与四死球で無死満塁にし、被盗塁やワイルドピッチやパスボールが無く、
3者連続三振を取ると、相手の残塁数として「3」が加算されます。
1つも打球が飛んでいないのに、加算されるのはおかしいと思われるかもしれませんが、実際、先頭から
3者連続四球を出すような投手はコントロールが良くないです。投球を良くキャッチしたという意味や、
捕手のリードも良くないと3者連続三振は出来ないですから、投手が頑張ったという証でもありますが、
捕手がキャッチを頑張ったという意味から、残塁数を加算しました。
続いて、相手打球による進塁数は3つ。
⑤被安打の打者進塁数(安打=1、2塁打=2、3塁打=3。※本塁打は投手の責任なので数えない)
→打たれたヒットで打者が何塁まで行ったかという数値。それの合計。
安打1本、2塁打3本、3塁打3本なら、(1×1+2×3+3×3)=16
⑥被安打による塁上ランナーの進塁数(安打~3塁打によって、塁上にいたランナーが何個進塁出来たか)
例:1塁ランナーがヒットで2塁に行ったら「1」、3塁まで行けたら「2」
⑦被犠打・被犠飛・被進塁打の数(犠打・犠飛・進塁打によって、塁上にいたランナーが何個進塁出来たか)
例:1塁ランナーが送りバントで2塁に行けたら「1」。
ただし、ノンストップで3塁まで行けたら、この⑦の項目に「1」が入り、次で紹介する⑧のエラーに「1」が入る。
最後に、自分達のミス数は3つ。(与四死球は数えません)
⑧失策・暴投・野選(フィルダースチョイス)で進塁した数
(エラーや暴投が起きた時、打者の進塁数と塁上のランナーの進塁数の合計)
※走塁妨害はこちらになります。
例:1塁ランナー時、打者が遊ゴロ、ショートが1塁へ送球したが悪送球となり、2・3塁になった。
1塁ランナーは3塁まで進んだので「2」、
打者は2塁まで進んだので「2」
よって、合計「4」が加算されます。
なお、満塁時、レフトに打球が飛び、レフトがトンネルして、エラーホームランとなったら、
3塁ランナーがホームまで進塁「1」
2塁ランナーがホームまで進塁「2」
1塁ランナーがホームまで進塁「3」
打者がホームまで進塁「4」
合計「10」が加算されます。
⑨被盗塁数(盗塁された数)
※相手の進塁ポイント数ではないのかと思われそうですが、盗塁はバッテリー力があれば防げる、
バッテリーのレベルを上げて欲しいという意味から自分達のミスポイント数の項目に入れました。
⑩バッテリーミスで進塁された数(ボーク(イリガリーピッチ)、打撃妨害、ワイルドピッチ(WP・投手の暴投)、パスボール(PB・捕手のエラー)で進塁されてしまった数)
例:1塁ランナー時、1球のワイルドピッチで2塁まで進塁されたら「1」、3塁まで進塁されたら「2」
※ワイルドピッチの記録数と違うので、気を付けて下さい。
<難しい状況、このプレーはどう計算する?>
今の所、調査して難しかった判断は下記になります。
分からない場合は、下記のコメント欄で、出来る限り状況を細かくご教示下さい。
★内野ゴロ2つで2死取った後、3連続ヒットで満塁となり、完璧な満塁本塁打が出た。
しかし、次の打者で内野ゴロに抑えてチェンジ。
この場合は、①捕球・送球・触球・妨害アウト「3」(内野ゴロアウト3つ)
⑤被安打の打者進塁数「3」(3本連続ヒット)
※満塁本塁打は数えませんので、全部のランナーが返った事も数えません。
として加算して下さい。
よって、このイニングの進塁阻止数は、「0」です。(3(①))-(3(⑤))
★内野ゴロ2つで2死を取った後、ヒットで1塁。次の打者がライト線のヒットで1塁ランナーが3塁へ。打者は2塁へ向かうも2塁タッチアウト。この時、2塁でタッチアウトだった時に、1塁ランナーは3塁到達していた。
この場合は、①捕球・送球・触球・妨害アウト「3」(内野ゴロ2つと2塁送球アウト1つ)
④相手の残塁数「1」(3塁ランナーのみ)
⑤被安打の打者進塁数「1」(2塁まで到達していないから)
⑥被安打による塁上ランナーの進塁数「2」(3塁まで到達しているから)
として加算して下さい。
よって、このイニングの進塁阻止数は、「1」です。(3(①)+1(④))-(1(⑤)+2(⑥))
★無死3塁。サードゴロでサードが3塁ランナーを挟殺プレーでアウト。打者はその間、一気に2塁へ。
この場合は、3塁ランナーアウトを優先アウトとみなし、③進塁阻止(優先)アウト「1」となり、打者はランナー入れ違いという意味となるため、打者の1塁進塁は加算されません。
しかし、打者走者は1塁から2塁へと1つ進みました。挟殺プレーでアウトにするまで時間がかかった。守備側がもたついたという意味で、⑧失策・暴投・野選(フィルダースチョイス)で進塁した数に「1」が加算されます。
よって、③進塁阻止(優先)アウト「1」
⑧失策・暴投・野選(フィルダースチョイス)で進塁した数「1」
として加算して下さい。
なお、これと同様で、無死3塁時に四球で打者が2塁まで一気に行く事がありますが、この場合は、まず、四球は計算しないので、1塁出塁までは何も加算されません。
ただし、1塁から2塁に1つ進んだので、守備のキャッチボールレベルが高ければ、その走者を1・2塁間でアウトに出来るのに、それをやらなかったとみなし、⑧失策・暴投・野選(フィルダースチョイス)で進塁した数「1」が加算されます。
好走塁は、守備の落ち度から生まれるため、守備レベルを上げて欲しいという意味で、「相手の進塁数」ではなく、「自分達のミス数」として加算しています。
★1死満塁時、センターフライでセンターがエラーして落球後、2塁送球アウト。1点入り、1・3塁となった。
この場合、③進塁阻止(優先)アウト「1」(センターが2塁送球アウト)
(よって、打者が1塁出塁したが、ランナー入れ替わりとなり、
相手の進塁数、自分達のミス数は加算されない。)
ただし、エラーにより、2塁、3塁ランナーが1つずつ進んだので、
⑧失策・暴投・野選(フィルダースチョイス)で進塁した数「2」
(3塁ランナーがホームイン「1」、2塁ランナーが3塁へ「1」)
として加算して下さい。
<進塁阻止数の使い方、概念について>
なお、計算して、1試合の進塁阻止数が、
・「+1」~「+4」は、守備が頑張った試合と認めてあげて下さい。(調査の平均が「+1」でした)
・「+5」~「+9」は、守備が上手いチームと呼んでOK。(守備が上手いと思ったチームは「+5」以上出ます。)
・「+10」を超えたら、かなりハイレベルな守備が出来るチーム(調査では、2試合しかありませんでした)
という意味で評価下さい。
つまり、「どれだけ進塁させずに1試合を終える事が出来たか」
これが小学生男子ソフトボールで守備力を図る数値になるのではないかというのが私の結論です。
実は、インプレ―となった打球÷アウトにした数で、守備率として計算するのもありだと私も最初は思ったのですが、小学生の試合は1試合で打球が飛ぶ数が少ない試合が多いので、30球打球が飛んで20球アウトにしたのと、3球打球が飛んで2球アウトにした割合が同じなのはどうしても納得がいきませんでした。これだと、投手力が高いチームの守備力と守備が圧倒的に上手いチームの率が同じになってしまいます。だからこそ、何度も検討した結果、この計算式に私の中で落ち着いただけです。勿論、まだまだ試行錯誤が必要なのかなと思っています。ぜひ、野球の数値に詳しい方(データスタジアムとか)がいらっしゃったら、優しくコメント頂けますと幸いです。(野球でも通用するかは忙しくてまだ計算してませんので、使えたら嬉しいですし、手を加えて頂いて、どなたかもっと楽な計算式を検討頂けたら嬉しいです。)
なお、理論上、
・1試合7回まで行き、
・全イニング与四死球で満塁となった
・被盗塁やワイルドピッチ、パスボールは0
・三振0で全て守備アウトを取った
・ヒットは0
・失点0
であれば、
(守備アウト数21+残塁21)-(相手の進塁数0+自分達のミス数0)=42
が最大で入る仕組みです。
また、この進塁阻止数を調査した結果、下記のような事が分かりました。
・無失点の試合が出来ても、マイナスになる試合は起きます。
(この場合は、自分達のミス数(エラーや被盗塁、ワイルドピッチ)が多いです)
・お互いがプラス同士の試合も、マイナス同士の試合も起きます。
お互いがプラス同士となった試合は、どの試合も両チームの守備が光り、緊迫感のあるかなりハイレベルな
試合でした。
逆にお互いがマイナス同士となった試合は、見ていると飽きてしまうくらい、つまらない試合が多いです。(お互いが「-10」を超えた試合は、見ていて辛いです。この調査の計算も辛いです。もっと練習頑張りましょう!)
なお、調査して、最高のプラスは「11」、最低のマイナスは「-31」でした。
・進塁阻止数が相手より高くても負ける事はあります。
自チームがプラスで、相手チームがマイナス。だけど負けたという試合はあります。
(10以上離されても勝つ事は出来ます)
こっちは守備で抑えたけど、相手が好投手で、アウトになったほとんどが三振だったという試合は、
こういう数値になります。
・全国大会のベスト8以上の高いレベルの試合であってもマイナス同士の試合は起きます。
(疲労による集中力・判断力低下は原因の1つとも思います。)
1試合の進塁阻止数がマイナスとなった場合は、相手打球による進塁数、自分達のミス数の⑤~⑩のどの項目が多いのかを検証し、その高い数値を練習で修正して下さい。
例えば、相手打球による進塁数
⑤被安打の打者進塁数
⑥被安打による塁上ランナーの進塁数
⑦被犠打・被犠飛・被進塁打の数
を減らしたいなら、ここはチームの守備力が悪い事が原因なので、ランナーを付けた試合形式のノックを打って、捕った後の判断力や守備のフォーメーション、カバー、カットプレーの位置が正しいかどうか確認すればいい。
自分達のミス数
⑧失策・暴投・野選(フィルダースチョイス)で進塁した数
⑨被盗塁数(盗塁された数)
⑩バッテリーミスで進塁された数が多い
を減らしたいなら、ここの数値は単純に個人の技術力のなさが原因なので、個人ノック練習や捕手の盗塁阻止練習、投手のコントロールを上げるピッチング練習、捕手のキャッチングの練習をすればいい。
という風に、練習メニューを考えるきっかけになったらと思います。
あくまで自分達の守備向上のため反省会の材料として使用したり、対戦相手の守備力を比較する意味で使用するのがベストと思います。
そもそも、守備の概念って、「打球をしっかりキャッチしてアウトを取る事」と思っている方がほとんどと思います。でも、野球もソフトボールも、「どっちのチームがホームに返った数が多かったか」で勝敗が付くので、いかに進塁させないかという意味で守備を行っていくと、例えキャッチボールレベルが低くても、相手の点は入りづらくなります。
例えば、ショートゴロをトンネルしたとしても、打者を2塁以上進ませないために、レフトがしっかりカバーをして、すぐに2塁に返球して1塁で止めれば、ヒットと同じ。
ショートゴロからファーストへ大暴投してもライトがちゃんとカバーして、キャッチして、打者を1塁で止めるために、すぐに内野に返球すればヒットと同じです。
「エラーをした方が負け」という定説がありますが、エラーはプロ野球選手でもします。だけど、次の塁に進ませないように、全員がカバーし合うチームが本当の意味で守備力が高いチームだと思います。エラーをしたって無失点に抑える事は出来る。エラーしても切り替える気持ちを育んでもらいたい。
個々としては、今でもある記録の数値を気にした方が良いと思いますが、チーム守備力として成長を測るならば、進塁阻止数が、守備力向上に繋がると思って制作しました。
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