他府県の2022年度の大会視察感想

 

 2020年に小学生男子ソフトボールチームからプロ野球選手を輩出している都道府県をチェックした所、大阪府、福岡県、広島県、鹿児島県の4府県が多かった事から、コロナ禍ではありましたが、大会視察に伺い、色々と勉強させて頂きました。

 

福岡では、釜蓋ジュニアソフトボールのコーチの方

広島では、中山少年ソフトボールクラブの女性役員様

大阪では、清水フリーバーズ(旧河合キッズの監督、コーチ、保護者の方)

鹿児島では、私の地元でしたので、多く指導者の皆様

 

に、大変お世話になりました。

色々と勉強させて頂き、情報や大会冊子も頂き、改めて感謝申し上げます。

 

 

2021年12月~2022年3月までに関東を含み、約90試合を見学し、データを取らせて頂きました。関東のチームと他府県の小学生男子ソフトボールは何が違うのか、どうして、卒団後も野球・ソフトボールを継続し、活躍出来る選手を生み出せるのか等、私なりに比較して、お伝えしたいと思います。

 

 

(見学した試合・大会)

福岡市  第18回 読売新聞西部本社旗争奪 福岡地区リーグチャンピオン大会

北九州市 第15回春季全日本小学生男子ソフトボール大会(初日、2日目)

さいたま市大宮 宮前ヒーローズカップ

埼玉県 第37回全日本小学生男子ソフトボール大会 埼玉県予選(初日)

千葉市 第37回全日本小学生男子ソフトボール大会 千葉県予選(2日目)

神奈川県 第37回全日本小学生男子ソフトボール大会 神奈川県予選(2日目)

横浜市神奈川区 神奈川区大会

横浜市 横浜市少連 夏季・ドリームカップ

広島市 食協旗

小田原市 秋季西湘大会

横須賀市 ウスイホーム杯

神奈川県 秋季神奈川県大会(2日目)

松戸市 松戸ジュニアリーグ秋季 決勝トーナメント(ベスト8)

広島市 広島地区少年ソフトボール選手権大会

横浜市 グリーンカップ(初日)

横須賀市 チャンピオン大会

横浜市 横浜選手権

大阪府 近畿連盟王座決定戦

松戸市 MC杯(準決勝・決勝)

大阪府 蓮池さよなら大会(決勝リーグ)

鹿児島 鹿児島県ちびっこソフトボール大会(3日目)

 

 

 本当は、福岡、宮崎、長崎、関東の他の大会等も行く予定が多々ありましたが、雨天のため取りやめたり、体調を崩してしまった時期等もあり、足を運んだのは上記の結果でした。

 全部で50万くらい旅費として使ったので、その分くらい、関東に限らず、小学生男子ソフトボールチームの皆様のお力になれたらと思います。(今回以外にも、データをまとめたお話をお伝え致します。)

 

 

 

 今回は、観た感想を述べたいと思います。

関東との違いを申しますと、まず、広島(広島市のチーム限定ですが)との違いについてですが、打撃レベルが非常に高かったです。

 

 データを取らせて頂きましたが、打撃に関して、

・スイング率(1試合の内、全ストライクの内打者がスイングした%)

・コンタクト率(スイングした内、どのくらいボールに当てましたか?ファール含む)

 

の2つは、強豪が揃う神奈川県、福岡県や大阪府に比べても、広島市の各チームの方が高かったです。

スイングのキレイさ、スイングスピード、下級生を見ても他の都道府県と比べてもよく振れているなと感じる選手が多かったです。(特に凄かったのは、5イニングで全ストライク中、見逃しストライクが1球だけというチームもありました。)

なので、積極的に打つ試合が多いため、いくつもの大会を視察しましたが、試合展開がとにかく早く、見ていて1番飽きずに面白いのが、広島でした。

 

 投手の球速が遅いとスイング率、コンタクト率は上がりやすくはなりますが、私が視察した「食協旗」、年間の各大会で好成績を収めたチームだけが出場出来る「選手権大会」では、全国大会でも通用すると感じた投手は10人程確認出来ました。

春の全国大会でベスト8に入った青崎ソフトの投手は、千葉県代表の松戸グリーンレイズ相手にノーヒットノーランをしていましたし、上部大会に出ていない府中中央、仁保学区の投手等も負けず劣らず球速がありました。

白島少年ソフトボールクラブの投手は、体格も良く、100kmは優に超えていたと思いますが、瀬野ソフト、海田東が球速に対して、振り負けていない姿、積極的に振っていく姿は、他の地区では見れない戦い方で、非常に勉強になりました。

勿論、各チームの守備力も高く、後々、話しますが、守備ポイントというのを個人で勝手に作って、統計を取りましたが、関東のチームよりも高い数値を誇っている試合も多かったです。

 

 広島市の各チームのスイング率とコンタクト率の高い理由ですが、いくつかの大会で行っている、下級生が出場出来る「ミニソフト大会」やティーボール大会の成果ではないかと考えます。

 2000年にティーボールの資格取得をして以来、私もティーボール信者ですが、ティーボールは、野球・ソフトボールを始めるきっかけに使うだけではなく、振らないと試合にならないので積極的に振る意識が育つ点と、止まっているボールを遠くに飛ばす振り方(体の軸を中心に回る打ち方、迎えに行って打ちにいかない)が出来るようになるので、ちゃんと打撃力向上にも繋がると確信しています。勿論、どんどん打つので、自然と守備力も向上する事に繋がっていきます。

 広島市では、下級生の頃からティーボールを使用した大会が数多く散見され、沢山の子達、沢山のチームが経験しており、下級生の内に積み重ねた事がソフトボールに見事に反映されているのだと思います。

下級生が出場出来る大会を行っている都道府県は聞きますが、広島市は、全国的に見ても下級生が出場出来る大会は多い方だと思います。

 普段の試合から、下級生が出場しないといけなくなりましたが、フリーエントリーで集まった段階で、合同チームを組んで試合をするような大会をもっと増やし、下級生のレベル向上を行う事が、全国大会、ひいては、中学・高校以降でも繋がる育成になると感じました。

 

 

 

下記の動画は、西湘オール様のYouTube動画より参照。2022年春の全国大会ベスト8の試合。

青崎ソフトが敗退する試合ですが、特に3、4番の子のスイングが素晴らしいと思いました。

個人的には1番打者の子も好きなのですが。

青崎ソフトの投手に疲れが出ていたようですが、西湘打線のボールをしっかりと当ててヒットゾーンに打つ能力の高さ、カウントが多くなっても集中力を切らさない点も凄いと感じています。

 

ただ、動画には入ってないですが、青崎ソフトのシートの上に置いたバッグの並べ方は、20年以上様々なチームを観てきましたが、過去1番綺麗な並べ方をしていたチームだと感じ、大変感動しました。高校野球の強豪校みたいな印象で、だからこそ、広島まで行ってそんなチームなら絶対勉強になると確信して、行動に移した次第です。

 

 

 

 

 

 

 

 福岡については、守備力の高さが目に付きました。全国的にも1番キャッチボールレベルが高いと思います。

私が拝見した福岡地区リーグチャンピオン大会は2021年の大会で、全試合が見れた訳ではないですが、各球場を見回った限りですが、出場している32チーム中、20チーム以上は、キャッチボールレベルが高いと感じました。

単独チームでキャッチボールが上手いチームがこんなにあるのかと思う程、守備力という点ではどのチームも高いと感じました。関東で言えば、横須賀や西湘など、神奈川県で全国大会に出場する選抜チームレベルのキャッチボールレベルが、福岡では当たり前に、そして、そんなレベルのチームがいくつもあったのは衝撃的でした。

 

 他の都道府県と違うと感じたのは、福岡内でも強いチーム程、体格が良く、肩の強い選手を捕手に起用しているチームが多かったです。鹿児島や神奈川などは、チームで1番背の高い選手が投手をして、投手力で試合を進めるチームが多いのですが、福岡では、背の高さ関係なく、ある程度の球速とストライク率が高い投手が多く、あとは、守備でアウトを取りに行くというようなチームが多い、つまり、守備重視な戦い方をするチームが多いと感じました。

 また、試合数も全国的に見るとかなり多く、指導力は別として、監督さんの采配が上手いなと感じるチームも多かったです。2019年には、全国、西日本、九州大会を福岡のチームが制した程、強いチームが多いです。だからこそ、競争が激しく、「福岡を制する者は全国を制す」と言っても過言ではないと感じました。

福岡市内だけでも、香椎下原、 奈多クラブ、野間ファイターズ、南片江レオーズ、清道クラブジュニア、 野芥ファイブ、野多目ファイターズなどなど、勉強になるチームが本当に多かったです。

 

 

下記の動画は、「福岡西シューティングスターズ2018-22」様の動画参照。

2021年2月のナガセケンコー旗争奪小学生ソフトボール大会卒団大会決勝。

福岡西シューティングスターズの剛速球投手(私が過去観た投手の中でもベスト10に入る球速と感じています)も注目ですが、香椎下原の5イニングで12個のアウトを守備で防いでいる点も注目です。互いにノーエラー、バッテリーエラーも無し。単独チームでこのハイレベルな試合はなかなかお目にかかれないと思います。

 

 

 

 

 大阪については、行く前から情報を得ていたのですが、しっかりと運営の方々が、小学生の身体について考えて取り組まれているなと感じていました。

例えば、大会数は他の都道府県に比べても多い方ですが、1日2試合、1試合50分ゲームが中心。

50チーム近くが集まる大きな大会では各球場に分かれて、ブロック単位で行い、3週に渡って行うので、子ども達の体を考え、運営として協力して行っていると感じています。

それでいて、大阪市No,1を決める市子連、リーグ戦上位チームが集まるリーグ対抗のチャンピオン大会、ほぼ毎月ある近畿子どもソフトボール連盟主催大会で優秀な成績を収めた8チームだけが出れる王座決定戦などなど、全国大会に出場出来なくても年間通して大会に出場しながら、目指せる大会が多いのは、選手達も指導者も含めてモチベーションを高くして活動出来るのは素晴らしい点だと思います。

 また、近畿子どもソフトボール連盟の大会では、兵庫や奈良、京都の全国大会常連チーム(明石ウエストクラブ、兵庫播州クラブ、木津キッズ、広陵町スポーツ少年団)が参加している事も多く、最近では、愛知や三重からも出場しているチームもあり、それが大阪のチームのレベルアップにも繋がっていると感じます。地区のチームと何度も対戦を重ねるよりも、多くの知らないチームと対戦を渡り歩く方が、成長の度合いは後者の方が全然良いと思います。

 その他、大会によって、合同、選抜チームで出場する事も出来、例えば、小学校のイベント(運動会や修学旅行等)、中学受験をする子が多いチーム、全国大会出場に合わせて等、各チームの状況に臨機応変に対応して大会出場出来るのも良い点だなと感じています。

 

 勿論、下級生の大会も多いですし、清水フリーバーズは、私もよくティーボールの全国大会で拝見していたので、下級生の頃から試合慣れしている選手が多いと感じていました。試合慣れしている選手が多いと、あらゆる局面での状況判断に優れます。つまり、野球脳が高い選手が育ちやすいという点が高く、正直、神奈川以外の関東のチームで野球脳が高いと感じたチームは皆無です。

 

 選抜でも単独チームでも試合をするからか、良い意味で個性ある選手が多いと感じました。

2022年の清水フリーバーズは、タレント軍団と思う程、個性のある選手が多く、見ていて面白かったです。玉川ファイヤーズの背の高いセンターの選手も印象に残っていますが、とにかく声が良く出ていて、大きな声で的確な指示や激励を送る、コミュニケーション能力が高い、「さすが大阪の子!」と思う、周りへよく声をかける選手が多いと感じました。

成和新庄の大型投手がケガをしていたのか、彼を見に出かけたのに見れなかったのは非常に残念でしたが、鷺洲JSBC、北田辺子ども会、城北ユニオンズ、海老江東などの大型の好投手も拝見出来ました。しかしながら、全体的に荒削りな部分が多いと感じました。

 

 

 

 

下記の動画は、「fires osakasayama」様の動画参照。

2017年の動画ですが、兵庫播州クラブ(当時、夏全国ベスト16)と狭山東ファイヤーズの一戦。YouTube動画で見つけた中では、大阪の試合の中でもレベルの高い試合と感じましたので。

 

 

 

 そして、2022年度最後に、毎年開催している鹿児島県のちびっこソフトボール大会を拝見しました。

九州大会優勝の中山が初日、全国大会に出場した知覧中央、2022年度全国No,1の球速と噂の高かった東出水が2日目で敗退、優勝候補で春夏連続全国大会に出場した大根占もベスト4に延長で消える大熱戦でした。

 視察して感じたのは、他の都道府県と比較しても、鹿児島は、投手の精度が非常に高いです。球速、コントロール、変化球のストライクが入る精度が全体的に高く、ワイルドピッチやパスボールが他の都道府県と比べても非常に少なかったです。(そもそも捕手が捕れない投球がほぼ無いですし、投球フォームが綺麗な投手が多いです。)

決勝の大姶良と東串良の試合も拝見しましたが、両チームの投手は、神奈川の西湘・横須賀の投手と遜色ないレベルでした。大姶良の投手は大きな体格から繰り出す100km程の剛速球とチェンジアップを7:3で織り交ぜた緩急自在な投球。東串良の投手は女の子ですが、伸びるストレートに全国大会出場の大根占打線が何度も振り遅れていました。

 

広島や神奈川には同程度の投手が10人程いましたが、鹿児島には、その倍以上がいたと思って良いです。

自分が指導していた10年以上前や2019年にも訪問していますが、そのレベルは変わっておらず、「投手育成の鹿児島」と言って過言ではないと思いますし、投手指導でお手本にしたい投手を探したいなら、県大会2日目を見る事が1番良いと仮説を立てていましたが、それが立証されたように感じました。

 もし、全国各地のチームの指導者で、投手を学びたいと思ったら、カメラを持って鹿児島の県大会2日目(だいたい3月第1日曜日)を視察される事をオススメします。投手力については他の都道府県と比較してもレベルが1ケタ違います。

 

 

 

下記動画は、武ソフト様の動画参照。

当時、西日本大会準優勝。3月に行われた最後の県大会の模様。1回戦からの相手投手も見れます。2回戦の相手投手も速いです。この大会の熱量が届けばと思います。